ノウハウ3:市場分析、エリア診断ノウハウ

不動産の類型と言われる分類があり、借地権付建物・底地、更地、建付地、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、区分所有建物がございます。大規模な不動産はそれ自体が地域となりますが、ほとんどは周辺の地域の中に位置し、その地域の構成物になっています。
上記の類型がどれに該当しても、不動産は属する地域の要因に影響され、よって、地域の分析が必要になり、その地域の中にあって、対象不動産の最有効使用が決定されてくるのです。
弊所では、ご依頼のあった不動産の地域を以下の通り分析致します。

1.近隣地域の把握
対象不動産が属する最も小さい範囲の地域を抽出し、その地域を分析します。
商業地域、住宅地域、工業地域はもちろん、対象地域が商・住・工をさらに細分化したどの地域に該当するか把握し、対象地域の標準的規模、標準的使用を分析致します。

2.同一需給圏及び類似地域の把握
近隣地域を把握すると、各地域が結びついたり、飛び飛びの地域でも結びつきがあったり、地域を広範囲に分析することになります。鑑定理論ですと、同一需給圏の把握→近隣地域の把握という順番になるのですが、弊所では、近隣地域が分析できないと同一需給圏も把握できないという考え方のもと、このような順番で記載させて頂いています。
同一需給圏内にある地域は、相互に価格牽連性を有し、代替性が認められる不動産が存する地域ですので、価格決定をする場合には考慮することになります。

これらの地域分析によって主に以下のことが得られます。
→地域の特性(どんなエリアで何が多いエリアなのか等)
→地域の価格水準(平均的な価格水準はどの程度なのか等)
→地域の価格動向(上昇しているか下落しているか等)

上記に加えて、例えば、借地権についての地域分析においては以下の要因分析を行います。
1.宅地の賃貸借等及び借地権取引の慣行の有無、成熟の程度
2.借地権が単独で取引の対象となる地域か、建物と随伴して取引の対象となる地域か
3.借地権が有償で創設される地域か、又は継承される地域か
4.借地権の取引きが一般に借地権設定者以外の者を対象として行われる地域か否か
5.借地権に対して、借地権者の権利意識が強い地域か否か
6.堅固建物の所有を目的とする借地権の多い地域か否か
7.一時金の授受が慣行化している地域か否か
8.借地権の譲渡に当たって、名義書換料を一般に譲受人又は譲渡人のどちらが負担する地域か