机上と現地の違い
不動産鑑定士の仕事をしていますと、机上で価格を出してほしいというご依頼を受けます。
もちろん、鑑定評価書は現地調査が必須ですので、意見書という形式で対応することになります。
以前、某一部上場企業の遊休資産を半年に一度机上調査をしていたことがありました。多いときは40件近く、一番少なくても15件くらいありました。この机上調査をした物件のうち、何件かは本格的に鑑定評価になるのですが、これが結構大変でした。
なぜなら、机上で出す価格と、鑑定評価額があまりに乖離してしまうと、クライアントの計画も狂ってしまう場合があるからです。もちろん、鑑定を机上に合わせるなんていうのは本末転倒ですので、机上調査をする場合は、仲介業者さんに沢山電話したりして、かなり手間をかけて価格を査定しておりました。
自分なりに、机上と鑑定評価額がどの程度異なったかチェックしていまして、土地についてはほぼ許容範囲内ではありましたが、たまに、すごい乖離してしまったこともありました。
住宅地図やGoogleでかなり分かるようにはなっていますが、ストリートヴューでチェックしても現地に行くと全然違うことは珍しくありません。道路や隣地との高低差、傾斜、自動車交通量、人通り等々、やはり現地に行かないと本当のところは分かりません。特に、対象不動産と事例との比較は、両方行かないと全く比較できないこともありますね。
土地でさえもそうですから、建物については現地調査は必須です。管理の状態は実際に行ってみないとほとんど分かりません。
そのような訳で、机上調査で出す価格は、一つの目安程度に捉えて頂ければと思います。それはそれで、まずはそのような情報を得ることも有用なことだと思いますので、使い分けを意識して頂ければと思います。
ちなみに写真は現在の拙宅の土地を初めて見たときのものです。図面やストリートヴューでは、全く買う気のしない土地でした。ちょっと平行四辺形ですし、西向きですし。でも現地に行くと図面ほど形状に違和感はなく、道路も拡幅予定でこちら側にセットバックはなく、規模も丁度良くて価格も手ごろだったので買ってしまいました。西向きのデメリットは今でも感じておりますが、その時間はあまり家にいないので、良しとしております(笑)。