タワーマンションの課税強化はちょっとだけ?
最近、話題になっているのがタワーマンション高層階への固定資産税等の課税強化。
ただし、1棟全体の税金総額は変わらないようにするらしいです。2017年度税制改正の作業のなかで建物評価方法の見直しを進め、早ければ2018年1月から導入されるとのこと。
相続税の動きとしては、国税庁が2015年11月に「個別に評価することで相続税の課税適正化を図る」方針を出し、建物について一般的な固定資産税評価額にもとづく財産評価ではなく、市場価格を基準に評価することを方針としているようです。
しかし、高層階の建物評価額を10%上げて低層階の建物評価額を10%下げる、あるいは20%の幅で調整するなどの案があるようで、しかも土地については見直しされない見込みとのことらしいです。
この20%の幅というのがどこから出てきたのかは分かりませんが、タワーマンションですとせっかくの制度改正も形骸化する雰囲気がありますね。また、20%の幅なんて決めると、結局市場価格から乖離するのではないかと心配になります。
ところで、マンションの市場価格は、一般的に階層が高く、角住戸に位置する住戸の単価が高くなります。ただし、新築マンションの値決めの際は、階層だけでなく、眺望の差によっても価格が変化します。特にリゾートマンションでの眺望というのは、かなりなウエートを占める要因になっていまして、某老舗リゾマンの調査を行った際、眺望によって倍近くの価格差が出ていたものもありました。これは極端な例ではありますが、同じ階層でも全く価格が変わってくることもあるというお話です。
鑑定評価を行う場合、主に同一マンション内の類似事例と比較することになりますが、その比較要因項目としては今話題の階層による格差が挙げられます。また、その専有部分の位置(角住戸か否か、方位、眺望、エレベーターとの位置関係等)によっても格差が出てきますが、タワーマンションの場合、角住戸がないことが多いのでその分評価しやすいかもしれません。
資産家にとってみれば、今まで厳密にこのような要因を分析しない評価方法で課税資産の評価をしていたため、タワーマンションの高層階はお得感があった訳ですが、先ほどの土地は含まないとか、建物の評価の幅も20%以内に収めるというような方向ですと、あまり影響はないかもしれませんね。
ただ、国税等は市場価格で評価したいという気持ちもあるようですので、どの程度厳密に評価していくのか今後も注視が必要です。本当に市場価格ベースで課税資産を評価するのであれば、あまり条件を付加すると余計に混乱してしまうように思います。