だまされ続ける資産家、不動産投資家
かぼちゃの馬車の問題
今、不動産業界では「かぼちゃの馬車」の問題が大きな話題となっていますね。
スマートデイズという会社が4年弱で800棟もの女性専用シェアハウスを販売し、あまりに数が多すぎてテナント付けが出来なくなり、運転資金がショートし、オーナーに賃料を支払えなくなったというのが概要だと思います。
株式会社東京商工リサーチのネット記事(公開日付2018年1月22日)によれば以下の通り記載されております。
(以下引用)
首都圏を中心にシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、東京都)が1月17日、20日の両日、物件オーナーへの説明会を開いた。1月12日には社長交代を発表し、民泊事業への進出話も出てくるなど、同社を巡る動きが慌ただしくなってきた。
スマートデイズは、2012年8月に設立。首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営している。物件オーナーを見つけ建築から管理運営まで請け負う「サブリース」で業績を伸ばし、2013年7月期の売上高4億4,502万円が、2017年3月期(2016年に決算期変更)は316億9,664万円へ急拡大していた。ところが、2017年10月に突然、物件オーナーに賃料減額を通知。1月17日と20日に開催した説明会で1月以降の賃料支払いが難しいことを明らかにした。
20日の説明会に参加した50代の男性は、「企業に勤めながら都内の物件オーナーになった。管理はスマートデイズに任せて、所有物件の空室状況は知らされていない。(スマートデイズが管理する物件の)入居率は50%に満たないと今日知らされ、今後100%に近づけたいとの説明を受けた」と話した。会社員のため物件管理に時間を割くことが難しく、今後も当面スマートデイズに管理を任せるという。
スマートデイズは、2017年8月に(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656、東京都)と資本業務提携を発表。2018年1月12日には大地則幸社長に代わり、オーシャナイズの菅澤聡代表がスマートデイズの社長を兼任することを発表した。1月22日10時現在、スマートデイズの商業登記簿は「登記事件処理中」で閲覧できない。役員変更などの処理中とみられる。(以下省略、以上引用終わり)
今回の問題は2つあり、1.サブリースの落とし穴、2.運営会社の客付け力の無さ、だと考えます。
サブリースは、簡単に言えば、賃貸物件を一括借上げ(マスターリース)する会社が、エンドテナントにそれぞれ賃貸(サブリース)して、手数料を差し引いた賃料をオーナーへ渡すというもので、手数料は賃料収入の10~20%程度と言われています。
オーナーにとって魅力的なのは、管理はお任せで家賃保証もしてくれるという、一見するとリスクが少なく、手間も掛からない素晴らしいシステムのように感じます。
しかし、いわゆるサブリース会社は建築から管理までを請負い、そもそも建築費や管理費を相場より高目に設定しているケースが多いです。
また、家賃保証も、未来永劫同じ賃料を保証してくれる訳ではありません。
そもそも、賃貸住宅は築年が経過すれば経過するほど、賃料が下落していくものです。もちろん相場が上昇すれば賃料が上昇していくこともあるのですが、既に右肩上がりの相場というものはバブル崩壊以降30年も経過していますが、まったく説得力を持ちません。
ちょっと考えてみて下さい。サブリース業者も未来永劫家賃を保証したら倒産する可能性が高いですよね。そんなリスクの高い商売は存在しません。もしサブリース業者が未来永劫家賃を保証したら倒産してオーナーに保証していた家賃は払えなくなってしまいます。
ですから、家賃保証なんていう甘い言葉に納得してはダメなのです。
ただ、今回の「かぼちゃの馬車」の問題は、物件を作り過ぎてテナント付けが出来なくなったというなんとも素人的なミスで多くの投資家を路頭に迷わしたことになっています。
普通は、ある程度年月が経過して、サブリース会社から賃料の減額を言い渡されて「話が違う」ということになるのですが、今回は最初からテナントが埋まらなくて、約束した賃料を払えないという最悪のケースになっています。
損する個人投資家
なぜこんなにも恐ろしくリスクの高い事業に投資した人が多いのでしょうか。
自己責任と言ってしまえばそれまでなのですが、それにしてもこの問題が繰り返し出てきて無くなることが無いのか不思議に感じます。
先日、各方面のコンサルタントの集まりに顔を出した際に、正直ってショッキングな話を聞いてしまいました。内容は業者の〇〇的なやり口の話です。東証一部上場の不動産会社でも凄いことをやっています。私も保身のためここでは書きませんが、ともかく、不動産に投資する地主の方、投資家の方は、ご自分でよく考えて、出来ればセカンドオピニオン的な専門家の客観的な意見を聞くことが重要だと思います。
また、会合で出た話としては、いくら専門家が論理的に反対意見を言っても、洗脳された方はもう耳を貸さないというものでした。
一度やるという意思決定を行うと、その方向に進めるべく、それを阻害する者は逆に悪者に見えてしまうそうです。そうしますと私なんぞは最悪の人間かもしれませんね。
しかし、しかしです。
不動産投資の被害者は後を絶ちません。もう何十年も前からです。ちょっと他の専門家に聞いていれば何千万円も何億円も損をしなくて済むのに、日本人はなぜ不動産で損をし続けるのでしょう。正直言って大損するくらいなら何もしない方がまだマシです。
不動産投資のための心得
そこで、不動産投資やアパート建設等を考えている方の心得を私なりに5つ挙げてみたいと思います。
- 1.誰かにお任せにしない。不動産に興味がなければ不動産投資はやめた方がよい。
- 2.投資する物件については、必ず現地を確認する。いくらネットが発達してもAIが進化しても、やはり現地は見ないと判断を誤る可能性が高くなります。
- 3.維持管理・賃貸管理については管理専門業者と契約する。通常、賃料の2~5%程度の費用とテナント付けの際の手数料で済みます。上記管理会社とは期間を定めた契約にし、対応が悪ければいつでも業者替えを行えるようにしておく。
- 4.どんなに自信がある計画でも、専門家の意見を聞いてみる。ただし素人に意見を聞いても、否定されるだけなので意味がない。専門家から、当該計画のメリットデメリットをきちんと聞いておく。
- 5.事業収支のシミュレーションはコンサバに見る。またはアグレッシブとコンサバの両面を検討する。シナリオは1つでは足りません。
かなり昔から多くの不動産投資家が路頭に迷うことが現実に起きています。
それも似たような話に乗せられて損害を受けているのです。歴史は繰り返すという話がありますが、この問題は悪い歴史が今も継続したままなのです。
とはいえ、どんな投資にも失敗はつきものです。素晴らしい専門家から指導を受け、万全の体制で不動産に投資をしても失敗する時は失敗します。でもそれが不動産投資なのです。失敗(リスク)を事前に把握して投資しなければなりません。
要するに、失敗した場合、自分はどうなるかをイメージしておくことです。ネガティブなイメージを引きずって本当に失敗したらどうするんだとお叱りを受けるかもしれませんが、やはり投資の場合は失敗した場合のご自分の状況がどうなるかを考えてやって頂きたいです。
転ばぬ先の杖
もし、不動産投資の予定があり、専門家の意見を聞きたいという方がいらっしゃればご連絡下さい。
また、士業でクライアントに不動産のアドバイスをしたい方、相続の問題等で不動産の知識をつけたい方、不動産投資の注意点を知りたい方等電話だけで解決する場合もありますし、調査が要するケースや、授業のように継続的にお勉強して頂くケースもあるかもしれません。
ご興味がある方はご連絡ください。