土地の価値基準が変わる可能性?(少し妄想が入ってます)
日経新聞の1月11日夕刊で、「住宅地にシェアオフィス 職住近接へ規制緩和」という記事がありました。
以前、このコラムでも柏市のシェアオフィスについて触れ、都内では昨年、「WeWork」という外資の会社が本格的に上陸したことについても書きました。
某セミナーで、「WeWork」は不動産業界をがらりと変えてしまう力があると伺ったこともあり、私としても注目している分野です。
日経の記事では、団地等の住宅地にシェアオフィスや商業施設を設置できるよう、規制を緩和する動きが政府にあるということでした。
現状、都市計画法によって、用途地域等が設定され、例えば、第一種低層住居専用地域では、店舗、事務所、ホテル等は原則的に建てられません。空家対策等とも絡みますが、この第一種低層住居専用地域に、事務所等に適した大きめの建物が空家になっていても、店舗、事務所、ホテルには使えないということになります。
これを地域再生法の改正によって、用途規制を緩め、住居専用の地域であっても市町村が申請すれば、商業系の用途もOKという可能性が出てきたということになります。
ただ、戸建住宅が多い閑静な住宅地域にすぐ認められるかは、既存住民と折り合いをつけなくてはなりませんから難し面もありますが、郊外の大規模団地等での可能性は大きいように思います。
まだ、このような動きは始まったばかりではありますが、IT技術やAIの発達により、数年前では考えられないほど、職場環境は柔軟になってきているのではないでしょうか。
ここから先は妄想に世界に入ってしまいますが、このようなシェアオフィスが発達し、会社員の半分以上が会社に行かず、自宅かシェアオフィスで仕事するようになるとどうなるでしょうか。
私はすぐ、土地の価格について考えてしまいます。
土地は一般的に交通接近性が良ければ価格が高くなります。
商業地は当然のこととして、昨今の住宅地は、ますますこの傾向が強いようです。
居住環境よりも、最寄駅接近性に優れた土地が好まれる傾向になってきていますが、もし、仕事は近くのシェアオフィスや自宅、買い物もネットスーパーや近所のショッピングセンターで済ますことが出来れば、もう駅に近くなくても良いかもしれません。
そうしますと、難しい言葉で言えば、土地の価格形成要因が変化するということになります。
ただ、ある程度の集積性は求められると思います。いくら自宅から出なくても仕事や買物が出来るといっても、一度に多くの用が済ませるような利便性の優れている土地の方が優位であることは間違いないです。
今までは駅に近い、路線商業地域に近い、インターチェンジに近いという指標で土地の価格がある程度決まっていたのが、もうちょっと価値基準が複雑化してくるように思います。(あくまで、ITやAIが発展することが前提ですが)
もう一つ妄想ですが、モビリティ改革と申しましょうか、簡単に言えば自動車の自動運転の発達により、交通接近性の概念自体があまり意味が無くなる可能性もあるということです。
もちろん、駅から近い方が便利なのは間違いないですが、そもそも先ほどのように職住接近により駅を利用する機会が減るかもしれませんし、住宅、ショッピングセンター、シェアオフィス、ホテル、病院等の複合型施設に近い場所の価値が高まるようにも思いますし、大規模複合型施設に住めば、自動運転タクシー等を利用して、お年寄りでも不動産の生活に不便が無い時代がくるように感じます。
既に、イオンは幕張メッセとイオンのショッピングセンターの間で自動運転実験をしています。自動運転が実用化されれば自動車の運転が難しい高齢者をはじめとして、消費者の利便性が高まります。それにGoogleのスマートシティ事業がカナダのトロントで動きだしていますから、妄想と思っている私自身が既に時代から遅れているのかもしれませんね。
今後、AIから派生する様々な技術革新によって、我々の生活に必ず影響をもたらすわけで、そうなれば必ず不動産の価格形成要因も変化してきます。
AI技術や複合施設の利便性が高いか低いかで、土地価格に大きなウエイトを占め、もしかすると東京一極集中的な地価バランスも、将来変わる可能性があるかもしれません。
(現状では全くその兆しはないですが。。)